はたまた虚無か

半分は(多分)嘘です。もう半分の半分も(恐らく)嘘です。あとの残りは、おまかせします。(主食はゆでたまごです

第1夜 無題

以下、年末でも年始でもなく、思いついた事を書くブログのようです。

 

「今思えば、初めて会った人はいいひとだった」という言葉の多分に漏れず、とっても魅力的な人だったと思う。

28歳、関西弁、ジャズダンサー。

当時10代も前半だった僕にとっては立派な大人に思えていた彼も、きっと夢を追いかけて上京してきた内の1人で、何らかの救いを求めて所謂「出会い系」を利用していたのだと思う。

 

特段何をしたってわけじゃあない。会ってはじめまして、からのカラオケ、そして車で送って貰った。強いていえばこの帰りに初キスと初フェラチオを済ませたくらい。ほんとにそのくらい。ついでにいうと、「今日会うって思ってから、禁煙しとんねん」みたいな風を言っていた彼からは、しっかりと煙草の匂いがした。(これが僕の人生で初の煙草との接触である。そんな事を覚えているあたり、キスという行為よりもそちらへの意識の方が強かったのかもしれない。)

 

結局、僕個人としてはその人に特別な印象を抱くこともなく、ダッシュボードには手切れ金のようにこっそりと千円札という”大金”を残して、その日は家まで帰った。

後日相手からの再三の連絡に「好きな人ができた」と中途半端な気遣いを混ぜたメールを送り、完全に縁を断ってしまったのだけれど、その時の相手の返信も「そかそか。まあ、自分の可愛い弟の相談に乗ってるみたいで嬉しいわ^^」風の大変憎めないものだった。

 

今この人に会えると言われても会う気はないのだが、不毛な出会いを繰り返す度に思い出す人ではある。ああ、不毛。